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車に乗り込むと、エアコンの風を強くした。
「倉田さん、今度の週末は、港で花火大会ですよ。俺、船を出すのですよ。乗りませんか?」
宿泊客のために、沖の小島まで送迎するのだそうだ。船は帰らずに、邪魔にならない場所で待機するらしい。小島では、船が停泊する場所が限られていて、停めていられない。
「俺も、一人では、寂しいですからね」
運転するので酒は飲めないが、弁当は用意します期待してくださいと、志摩は、豪語していた。妹もいいかと聞くと、トイレ事情が悪く女性は止めた方がいいと、志摩がアドバイスしてくれた。男性ならば、マナーは悪いが、暗闇さえあればどうにかなる。
「週末、楽しみにしているよ」
田舎に帰ると、こんなイベントに参加したくなる。都会では、いつも人の中に居るが、田舎ではむしろ、人との接触が少ないのかもしれない。
志摩は、当然のように、俺を自分の部屋へと届けていた。志摩の部屋は、アパートとは違い、台所などない。志摩は、母屋からアイスとペットボトルを持ってきた。
「なあ、志摩、男同士って何をするの?」
志摩に聞いていいのか分からないが、つい聞いてしまった。
「………資料、ありますよ」
志摩が、ノートパソコンを持ってくると、あれこれ検索してくれた。
「こんなこと、本当にしているの?」
結構、詳細に説明されていたり、動画になっていたりするが、他の記事と同様に虚偽ではないのか。感じまくっている姿を見ると、嘘である感じもしていた。彼女としても、ビデオとは、全く違うのは当たり前の原理だった。
「ううむ、俺も詳しくはないですが、結構、興味だけで試している奴は多いですよ。俺は、やるほうだけ試しましたが、まあ、お互い練習ということで、後腐れなく、遊びの延長でしたね」
志摩、でも、結構楽しんだらしい。
「興味が出ましたか?」
興味というのか、今、目の前にある課題であった。
「興味一、不安六、恐怖三、あたりだな」
「嫌悪がなしなら、脈ありですね」
考えると、確かに嫌悪はなかった。それから、志摩とビデオ観賞会になってしまった。あれこれあるが、どれも、受ける側の反応が大きい。確かに、応援?声援?がないと、やる側としては、気分がのらないのかもしれない。
「あんな声は、出すのは嫌だろう」
あんあん言うのは、抵抗があった。
「そうですね、でも、あった方が楽しい」
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