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換気扇の回る音が聞こえる。
油取りをサボったせいか、妙な節が耳に障る。
ボンっとコンロに火がついた。
タンタンタンと調子のいい軽快な音が響く。
声無き断末魔に身体が震えた。
再度足音が近づいてくる。私のすぐ頭の横で止まった。
彼の手が、私の肩に触れた。
私は布団を蹴って飛び出した。玄関を目指して足を走らせる。
ふと台所に目をやってしまった。
「ああっ、――!」
血、血、血!飛び散った血!
床に、シンクに、コンロに、飛び散った血!
しかも、流しには内臓があちらこちらに張り付いている。
力が抜けて、その場に崩れ落ちてしまった。
「捕まえた」
彼のきしゃな腕が、背後から私を包み込んだ。
振り向くと、赤い班の散った笑顔がそこにあった。
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