6人が本棚に入れています
本棚に追加
いつかの時代の
どこかの世界の
とある国の平和な街に
それはそれは可愛いらしい
貴族の女の子がいました。
そして、
女の子には "いいなずけ" がいました。
隣国の貴族の男の子です。
親同士が取り決めた結婚相手。
彼は、少し変わった人でした。
彼と一緒に暮らすことになってから
屋敷から出ることを禁じられました。
女の子が自分の手の届かぬところに
行ってしまわぬように、と
逃げ出さないように、と
彼は閉じ込めようとしたのです。
それから、女の子はいつも一人でした。
話し相手もいない。
これまで仲の良かったお友達とも
外で話せなくなってしまいました。
それからというもの、
女の子は毎日泣いていました。
雨の日も
風の強い日も
お日様が顔をのぞかせている日も
声を枯らしてもなお
女の子は泣いていました。
最初のコメントを投稿しよう!