序章

4/12
前へ
/12ページ
次へ
それなら、と彼は言います。 ──僕が話し相手になってあげるよ 本当に? と女の子は彼に訊ねます。 ──本当さ。毎日、君に会いに来るよ それから彼は、決まって昼ごろ 同じように木の上に現れては、 色んな話をしに来てくれました。 そして、女の子はようやく かつての笑顔を取り戻しました。 そんなある日のことでした。 いつものように女の子が男の子と 他愛のない話をしていると、 トントントン、とドアがノックされました。 ──誰か、いらっしゃるのですか? 彼が、帰ってきてしまったのです。 女の子は焦りました。 誰とも話してはいけない、という 彼からの言いつけを 破ってしまったのですから。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加