序章

5/12
前へ
/12ページ
次へ
男の子はすぐさま状況を察して、 ──また今度 そう言うと、ひらりと身を翻して 姿を消してしまいました。 急いで窓を閉めると同時に 彼が険しい顔で部屋に入ってきました。 ──すみません。独り言です 声を震わせながら、 女の子はそう言い繕います。 ──独り言、ですか? 女の子を見下ろして、彼は訊ねます。 ──あの男と、話していたというのに? そう。彼は知っていたのです。 彼女が毎日、あの男の子と会って 話をしていたということを。 ──私以外と話すな、と言ったでしょう 頬を叩かれ、女の子が床に倒れこみます。 ──今後一切、彼と会わないでください 冷たい声でそう言い放つと、 彼は部屋を出て行きました。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加