6人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、彼は会いに来ませんでした。
その次の日もまた次の日も、
彼は姿を見せてくれませんでした。
あの日以来、
木の枝に登る影も、窓を叩く音も
ぱったりと止んでしまいました。
そして、彼が来なくなってから
ひと月が経ちました。
ある日の夜のこと。
窓から、まんまるのお月さまが
ひょっこりと顔をのぞかせていました。
明日は"彼"と結婚式を挙げる日でした。
そのあとすぐに、隣国にある彼の家に
引っ越さなければならないのです。
もう、この地に戻ってくることも
出来なくなってしまうでしょう。
ひと月、"彼"と会っていませんでしたが
それでもまだ女の子は、
彼のことを想い続けていました。
寝てしまえば明日が来る。
そう思うと、中々寝つけませんでした。
最初のコメントを投稿しよう!