序章

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おやすみなさい、と。 自分に言い聞かせるように紡いだ言葉。 後ろ髪を引かれる思いで目を閉じた 女の子の耳に入ってきたのは── コンコンコン。 どれほど、どれほど この時を待ち焦がれたことでしょうか。 ベッドから跳ね起きた女の子は、 すでに開け放たれていた窓を見て 思わず息を飲みました。 ──こんばんは、お嬢さん 彼は、自らの唇に人差し指を当てて ニッコリと微笑みました。 ──お迎えに上がりました 女の子はわきめも振らずに、 窓に駆け寄ります。 ──僕が必ずアナタを守ります だから、と。 そう言い置いて彼は右手を差し出すと、 ──僕についてきてはくれませんか?
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