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沙耶はふいに顔を上げ、運転席側にある速度表示へ視線を送る。
そこには宏太が忘れていった携帯があった。
今なら確認できる
人として最低な行為だということは分かっている。
しかし、分かっていながら。沙耶は手を伸ばしてしまった。
胸にあるモヤモヤを消し去りたい一心だった。彼の言う通りならそれでいいし、見てしまったことも素直に謝る。
そうだ、ちゃんと謝ればいいのだ。優しい彼ならきっと許してくれるはずだ。
そう開き直った沙耶はシンプルな黒の携帯を手にすると、すぐに画面を開いてメールアイコンへ。
そして受信ボックスにカーソルを当てると、緊張しながら、ゆっくり決定ボタンを押した。
――――――。
「……なにこれ?」
沙耶は眉をひそめた。
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