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車はまた走り出した。
さっきまでとは大きく違い、車内は重苦しい雰囲気に包まれている。
会話は一度もなかった。
というのも、あのメールを見てしまったせいか、宏太の表情が酷く冷徹に見えてしまうのだ。
「なんか元気ないね。大丈夫?」
「え? う、うん」
向こうは会話を引き出そうとしているらしいが、沙耶としてはそんな気にはなれない。
そして押し黙っている間、ずっと考えていた。
宏太がそういう人間だとして。
あのメールに書かれていた供物とは、一体何なのだろう。
「ねえ、沙耶。ひょっとしてメール見た?」
沙耶の心臓が、止まりそうになった。
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