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「来客……ああ、また見合いか」
俺は使用人の抱えていた服が正装であることに気づいた。毎回よくも懲りずに、父は女を寄越すものだ。ため息混じりに息を吐いた。
「早く用意を済ませろとのことです」
使用人は使用人らしく、父の伝言を告げた。
「寝てるから今日は無理って断っといて」
俺は乱れていた布団をかぶり直し、頭を掻いた。
「ダメです」
使用人は俺から布団をはがした。
「これも仕事の一環です」
変に真面目な女だな、と思った。まあ使用人だから仕方ないのだろうけど。
「こんな厄介な仕事、放り投げたい」
俺は大きなあくびと共に起き上がった。
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