第1章

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「なんだ猫かよ。」 ホッと安堵のため息を漏らす。 しかしよく考えてみれば胸糞が悪くなってきた。 だってそうだろ? こいつから猫の鳴き声がするってことはこのゴミ袋に誰かが猫を入れやがったって事だ。 しかも外から見えないように黒いゴミ袋だ。 俺は猫が好きなんだ。 とにかく、一刻も早く可哀想な猫を助け出してやらねば。 俺は黒い塊に手を伸ばそうとした。 しかしその時、おかしなことに気が付いて手を止めた。 周りが暗くて全体がよく見えないのもあるのだろうが、いくら探しても袋の結び目が見当たらない。 ゴミ袋だと思っていたソレはどうやら違う物のようである。 そうして段々と暗闇に目が慣れてきた。 「ヒエッ!!」 俺は男として、決して頼り甲斐のある方じゃない。 だけど最低限の勇気とプライドは持ち合わせている。 そんな俺が後ろに仰け反って情けなく悲鳴をあげる程に、ソレはおぞましい代物だった。
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