第1章

7/17
前へ
/17ページ
次へ
ズルズルズルズルズルズル ズルズルズルズルズルズル ズルズルズルズルズルズル ズルズルズルズルズルズル 無数に何かが蠢めく音。 子供の頃、動物園の人気の無い爬虫類コーナーで聞いたことのある音。 幾重にも重なった蛇たちが少しずつ少しずつ身体を動かす時の音。 だが俺が吐き気をおぼえたのはその音のせいじゃない。 ソレは一つの何かではなく無数の物体から成る何かだった。 蛇 ドブネズミ 蜥蜴 魚 イボ蛙 カラス 手足の様に生える極太のムカデたち 犬 そして 猫。 それら全ての頭部のみ、である。 数々の動物の頭部が45リッターサイズにギチギチに凝縮されていると想像してみてくれ。 そこに無数の蟲たちが集っている。 大なり小なりの羽虫や油虫。 「なんだぁ…なんなんだぁ…」 こんな胸糞の悪い物は正直見たことがなかった。 しかし極め付けはここからだった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加