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「ハァハァハァハァ」
先ほどあの黒い塊と遭遇した場所から500~600メートルは離れたであろう場所にやってきた。
「ハァハァハァハァ」
たかだかこれくらいの距離なのに随分と息が上がっていた。
無理もない。
あんな物を見て正常でいられる方が難しい。
走ってきた方向をしばらく見つめていたが、あの塊が追いかけてくる様子はなかった。
俺は人心地ついて、タバコを吸おうとポケットに手を入れた。
大丈夫、なんでもない。
きっとアレは誰かが何かのジョークで作った物に違いない。
仕掛けは解らないが何かの機械で動いているのだろう。
そんな風に片付けて、家がある方向に向き直った。
そして視界が前方を捉えた時、俺はタバコを口から落としてしまった。
『シューッ』
塊は確かに追いかけて来てはいなかった。
どういうワケかその塊は、俺の前にいた。
遥か後ろに振り切った筈の塊がこれから進もうとする先にいて、先ほどと同じ様にズルズルと蠢いている。
なぜ、前にいるのか。
同じ様に見える別の物なのか?
はたまた、別の道を通って先回りされたのか?
色々な考えが頭の中でこんがらがり、俺はパニックに陥った。
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