第1章

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 『あらやだ! 可愛くないわね! そんな子に育てた覚えはないですよ!』  「どこのママさんだ……」  『ママの言うことは聞いて欲しい、反抗期の息子を想うママさんです』  「つまりワガママだな。いや、洒落じゃないが」  『で? お礼は?』  「アリガトー」  『あら綺麗な棒読み。今度はあなたを折り曲げましょうか?』  「やってみろ」  ドゴン。光の球が腹にタックル。肉体の奏でる音じゃない。  鍛え上げた星純の腹筋は、板チョコ並みの強度しかなくなっていたようで、華麗な悶絶が身体をくの字に曲げている。ギリギリ、膝は付かないで。  『もう! そんなことで大丈夫なのかしら? 命の期限は短いのよーー特に貴方はね』  「……分かってるよ。そんなことは」  分かってる。念を押すようにもう一度つぶやき、星純は屈したままだった膝を立て直した。光の球は、そんな星純のまわりをくるくる回る。被我の間隔を律儀に保って、まるで公転でもしているかのよう。  その向こう、寄り合い所の入り口で、ミツとハチが手招きしている。豪快に、二人そろって飛んだり跳ねたりしているのは、些か頭の痛い光景だ。  星純は、ひとつ溜め息を絞り出して歩き出す。今日だけで何回目だろうか考えながら、後ろに付いた光球の言葉を耳にする。  『ーーこれで更新。貴方の寿命は、今からきっかり75時間。言えた義理じゃないけども、残り時間は大切に』
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