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そう思うのに、ゆーちゃんはなんだか沈んだ感じで、なかなか会話が続かなくて。
結局その笑顔が再び見れたのは、ゆーちゃんの家の前に車を停めた時だった。
「今日はほんっとーにありがとうございました」
ニコッとして、ゆーちゃんが僕に向く。
「今日はほんっとーにおめでとうございました」
「あははっ。大事にするね?これ。ほんとにありがとう」
ゆーちゃんはプレゼントを胸に抱え直した 。
よかった……。
よっぽど気に入ってくれたみたい。
「無くさないでね?ピアス」
「なくさないよ~~ジュンちゃんじゃないんだから~~」
「おいっ。こないだ無くしてたじゃんかぁ」
「やははっ」
いつものじゃれ合いが心地いい。
「……それ、つけてみて ?」
ニコニコしていたゆーちゃんは頷くと、中の箱を取り出して、パールのピアスを手にした。
「もったいないけど……じゃあつけちゃおっかな」
ボックスについてるミラーを見ながら、小さなピアスを耳につけていく。
──その指先が綺麗で。
髪をかき上げる仕草が色っぽくて……。
「……どお?」
キラリと輝くパールが予想通りに……いやそれ以上に、ゆーちゃんに似合いすぎていて……。
僕は思わずキスした。
あまりにも魅惑的なゆーちゃんを前にして、おかしくなったのかもしれない。
ほとんど衝動的だった。
「……好きだよ」
ゆーちゃんはコクリ、と頷いた。
でも。
その瞳から急にはらはら涙が溢れだして、僕は一気に血の気が引いた。
……え……うそ……。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
覚悟もできないうちに、ゆーちゃんは言った。
「……ごめんなさい」
いきなりみぞおちを殴られた気分。
ごめんって……ごめんって ……なに?
僕はすがるようにゆーちゃんの手を握った。
「……私……ジュンちゃんが思ってるような子じゃないんだよ……」
「ゆーちゃん……?」
「ジュンちゃんが思ってるほど……純粋でもなんでもない……」
純粋じゃない……。
純粋じゃない……?
「……なにいって……」
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