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どういうこと?
ゆーちゃん、他に好きな人でもいるの?
浮気でもしてるってゆーの?
純粋じゃないって……。
あの笑顔も?
やさしい言葉も?
愛しそうに見つめる瞳も、楽しそうなそぶりも?
全部偽りだったって言うの?
「……ジュンちゃん……あのね……」
僕がうつむいて唇を噛むのと同時に、ゆーちゃんが言った。
「かえらないで……?」
………………へ?
僕は耳を疑った。
な、なに!?
いま、なんて!?
慌ててゆーちゃんを見ると、相変わらず涙に濡れた、それでいて健気なまなざしが待っていた。
「……ゆーちゃん……それって……」
「今日……泊まってほしい ……」
………………は?
待って……!
ちょっと待って!
夢みたいな言葉をもらって心臓が破裂しそうだった。
僕はもうあまりに予想外すぎて、唖然としちゃっていると、ゆーちゃんが突然かぶりを振った。
「……あの、えっとごめんなさい……どうしよう…… やっぱダメだよね……?」
「えっ?」
「あああもう、なに言っちゃってるんだろう……!女の子からこんな……こんなこと言うべきじゃないって分かってたのに……やっぱひいたよね……?」
真っ赤になって取りつくろうその仕草が、僕を打ちのめした。
半ばゆでダコのようなゆーちゃんの腕を引いて、夢中で抱き寄せる。
もう無理。
冷静でなんかいられない。
ゆーちゃんがそんなふうに思ってたなんて。
まさかそんなふうに思ってたなんて……!
「……もしかして、前から思ってた?」
耳元で囁くと、ゆーちゃんが小さく頷くのが分かる。
「…………マジかよ~~~ ……なんだぁ~~~……」
今まで不安に思っていたのがまるで勘違いだったと分かって、なんだかもう天地が返ったような気分だった。
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