case1:JS

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「……だってジュンちゃん 、なんにもしてくれないんだもん……」 「ややや、それはほら ……」 「私ってそんなに魅力ないのかなーって……ショックで……」 「まさか……!ちがうって!ゆーちゃんが大事だから、ただ、大切にしたくて」 「ちょっと大切にしすぎでは……」 僕は笑って、ゆーちゃんをもっとぎゅって抱きしめた。 甘い体温に胸がつまる ……。 「……だってゆーちゃん、そーゆーの慣れない感じだったし」 「そ、そんなことないよ う……」 「そお?前、こうした時も逃げたじゃん」 「あれは……。だって寂しくなるんだもん。手、つないでも抱きしめても 、キスしても……きっとその先はないんだろうなって……。そう思ってるのって、私だけなんだろうなぁって……」 …………うそでしょ。 あれってそーゆーことだったの……!? 最愛の彼女にこんなこと思わせるなんて、僕ってどこまで鈍感なんだよ! いっそ自分を殴りたい……! 「あーーもうごめん。ごめんねゆーちゃん……。でも、もう、遠慮しないから……」 僕はゆーちゃんのふわふわな髪をなでて、それから額に口づけて。 それから唇をふさいだ。 ────愛してるよ……。 心が触れ合うような、そんな甘いキス。 「じゃあ……ほんとに泊まっちゃうよ?」 「……うん……」 ……でもなぁ。 僕はゆーちゃん越しのウインドウに見える、立派な邸宅を見やった。 「パパさんとママさん、怒らない?」 なにを隠そう実家暮らしのゆーちゃん。 だからこそ、僕も慎重になっていた部分もあるわけで……。 「……誰もいないよ?」 「ほんと?でかけてるの ?」 「てゆうか……お父さんの転勤にお母さんがついてったから、ずっと私ひとりなの」 「………そおなの!?」 「あれ?確か前も言ったんだけどなぁ……」 一気に肩の力が抜ける。 なんだぁ~。 なんか損した気分! あ、いや、ご両親がいようがいまいが、ゆーちゃんを大切に扱うことには変わりないけども。 けどご両親の手前、なるべく早く帰さなきゃって我慢してたりもしたわけで。
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