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「……だってジュンちゃん 、なんにもしてくれないんだもん……」
「ややや、それはほら ……」
「私ってそんなに魅力ないのかなーって……ショックで……」
「まさか……!ちがうって!ゆーちゃんが大事だから、ただ、大切にしたくて」
「ちょっと大切にしすぎでは……」
僕は笑って、ゆーちゃんをもっとぎゅって抱きしめた。
甘い体温に胸がつまる ……。
「……だってゆーちゃん、そーゆーの慣れない感じだったし」
「そ、そんなことないよ う……」
「そお?前、こうした時も逃げたじゃん」
「あれは……。だって寂しくなるんだもん。手、つないでも抱きしめても 、キスしても……きっとその先はないんだろうなって……。そう思ってるのって、私だけなんだろうなぁって……」
…………うそでしょ。
あれってそーゆーことだったの……!?
最愛の彼女にこんなこと思わせるなんて、僕ってどこまで鈍感なんだよ!
いっそ自分を殴りたい……!
「あーーもうごめん。ごめんねゆーちゃん……。でも、もう、遠慮しないから……」
僕はゆーちゃんのふわふわな髪をなでて、それから額に口づけて。
それから唇をふさいだ。
────愛してるよ……。
心が触れ合うような、そんな甘いキス。
「じゃあ……ほんとに泊まっちゃうよ?」
「……うん……」
……でもなぁ。
僕はゆーちゃん越しのウインドウに見える、立派な邸宅を見やった。
「パパさんとママさん、怒らない?」
なにを隠そう実家暮らしのゆーちゃん。
だからこそ、僕も慎重になっていた部分もあるわけで……。
「……誰もいないよ?」
「ほんと?でかけてるの ?」
「てゆうか……お父さんの転勤にお母さんがついてったから、ずっと私ひとりなの」
「………そおなの!?」
「あれ?確か前も言ったんだけどなぁ……」
一気に肩の力が抜ける。
なんだぁ~。
なんか損した気分!
あ、いや、ご両親がいようがいまいが、ゆーちゃんを大切に扱うことには変わりないけども。
けどご両親の手前、なるべく早く帰さなきゃって我慢してたりもしたわけで。
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