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「それならそうと早く言ってよぉ!」
「ええ~?言ったよ?ジュンちゃん一回来たとき 、うち誰もいないって 」
……いや、うん。言った。
確かに言ってたけどさぁ。
「あの日だけのことかと思った……」
心底うなだれる僕を見て、ゆーちゃんは終始キョトン。
そしてふふっと笑って言った。
「なんだぁ~そっか。それで全然うちに来てくれなかったのか……」
そうだよ。
本当は僕だって……。
ゆーちゃんを一瞥した僕は、車をカーポートに停めて降りた。
助手席のドアを開けて、ゆーちゃんを降ろして、一度だけ来たことのあるお家に入れてもらう。
相変わらずおしゃれな輸入邸宅のような造り。
「どうぞ?」と促されるまま、リビング階段の前へ。
「ええっと、とりあえずジュンちゃん先部屋にいってて?」
言いながらキッチンの方へ向かうゆーちゃん。
でも僕は上がらずに、佇んでゆーちゃんを待った 。
……久しぶりだなぁ。
初めて来たのは確か、付き合ってすぐの時だった 。
あの時はめちゃくちゃ緊張してて、でも色んなこと話して笑い合って、打ち解けて。
そんで帰り際、初めてキスしたんだっけ……。
当時のことを思い返して思わずにやける。
あの時のゆーちゃんってばもう、ほんっとに初々しくて。
慣れない反応が可愛くて可愛くて……。
それで、大切にしなきゃって、ずっと心に決めてて。
なのに。
そんなゆーちゃんがいつしか……僕を求めてた、なんて。
……………………
……………………………。
色々思ってるうち堪らなくなっちゃって、僕はゆーちゃんに歩み寄った。
「…………?」
カウンターでグラスを用意する彼女をそっと抱きしめる。
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