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言ってみれば中学生みたいな感じかも。手をつなぐだけでも慎重になっちゃうし、キスも何回もしてない。
触れたい……けど、触れたくない。
ゆーちゃんを簡単に扱いたくないから。
そのせいか、僕は自然と恋人同士の雰囲気を遠ざけるようになっていた。
ゆーちゃんもそう。
2人でいてもいつも友達みたいなノリだし、ゆーちゃんもそれが心地いいのか、必要以上に近づいてこようとはしない。
僕はそんな距離感が好きだった。まぁ本当は……ちょっともどかしいけど。
でもゆーちゃんを好きだからこそ、初々しさをも大切にしたかった。
そんくらい、バカみたいに、彼女のことが大好きで……。
どこまでも単純な僕は、彼女も同じ気持ちでいてくれてるって、勝手に思い込んでいたんだ。
「わーお!」
「意外ときれ~だね~!」
はるばる訪れたのは、少し離れた地の、ちょっとした高台にある公園。
夜景が見たいって言い出したのはゆーちゃん。穴場スポットを調べてくれたのもゆーちゃん。
「う~さぶい~。けどきれい~やばい~ハンパない~」
うは。
嬉しそうだなぁ。
こんな喜んでるゆーちゃん見んの初めてかも……。
ちょっと遠かったけど来てよかった!
「来てよかったね!」
「だね~!ジュンちゃんとじゃなきゃもっとよかったのにね~」
「おいっ」
静かな公園にゆーちゃんの笑い声が響く。
「でもホントにキレイ……」
ゆーちゃんより少し後ろに立っていた僕は、夜景を見るフリをして彼女を眺めていた。
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