case1:JS

4/13
前へ
/14ページ
次へ
言ってみれば中学生みたいな感じかも。手をつなぐだけでも慎重になっちゃうし、キスも何回もしてない。 触れたい……けど、触れたくない。 ゆーちゃんを簡単に扱いたくないから。 そのせいか、僕は自然と恋人同士の雰囲気を遠ざけるようになっていた。 ゆーちゃんもそう。 2人でいてもいつも友達みたいなノリだし、ゆーちゃんもそれが心地いいのか、必要以上に近づいてこようとはしない。 僕はそんな距離感が好きだった。まぁ本当は……ちょっともどかしいけど。 でもゆーちゃんを好きだからこそ、初々しさをも大切にしたかった。 そんくらい、バカみたいに、彼女のことが大好きで……。 どこまでも単純な僕は、彼女も同じ気持ちでいてくれてるって、勝手に思い込んでいたんだ。 「わーお!」 「意外ときれ~だね~!」 はるばる訪れたのは、少し離れた地の、ちょっとした高台にある公園。 夜景が見たいって言い出したのはゆーちゃん。穴場スポットを調べてくれたのもゆーちゃん。 「う~さぶい~。けどきれい~やばい~ハンパない~」 うは。 嬉しそうだなぁ。 こんな喜んでるゆーちゃん見んの初めてかも……。 ちょっと遠かったけど来てよかった! 「来てよかったね!」 「だね~!ジュンちゃんとじゃなきゃもっとよかったのにね~」 「おいっ」 静かな公園にゆーちゃんの笑い声が響く。 「でもホントにキレイ……」 ゆーちゃんより少し後ろに立っていた僕は、夜景を見るフリをして彼女を眺めていた。  
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加