case1:JS

6/13
前へ
/14ページ
次へ
切なげな顔。 必死で泣くのをこらえてる。 な、なんで……っ! 「ちょちょちょ、どーした!?」 ゆーちゃんはブンブンと首を横に振る。 「なんだよ~。言って?」 「……………。」 うつむいて、無言を貫くゆーちゃん。 やばい。 どうしよう。 分かんない……。 結局わけは分からないまま、僕はゆーちゃんつられて公園をあとにした。 帰りの車内では、ゆーちゃんはいつもの調子に戻っていて。 僕もなんとなくそれに合わせて……。 でも僕は見逃さなかった。 途中、ゆーちゃんが何度か口を開きかけたことを。 それはまるで、なにか深刻なことを告げようとしている感じで。 でも、どうしても言えないって風に見えた。 この日を境に、ゆーちゃんはたびたびそんなそぶりを見せるようになった。 特に別れ際。 少し緊張したような顔つきで、なにか言いたげに僕を見つめてくるんだ。 そしてなんとなく。なんとなくだけど、僕との距離をはかるようになった。 僕は気づかないフリをしていた。 怖かったから。 もしかして別れ話を切り出されるんじゃないかって、不安だったから。 そんなはずないって思いたかったけど。 ゆーちゃんはいつも楽しそうにしていたし、僕への気持ちは変わってないはずだって、信じたかったけど。 だけど。 そこまで前向きに思い込める自信が、僕にはなかったんだ。  
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加