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会えば冗談ばっか言い合って、ムードもへったくれもない僕ら。
ゆーちゃんにとって僕は、男友達みたいな感覚で、それ以上の関係にはなれなかったってことなのかもしれない。
ゆーちゃんは優しいから、今さらそんなこと言い出せなくて困ってるのかもしれない。
日に日にそう思えてきて。
そうとしか思えなくなってきて。
それでも僕は、見てみぬフリをくり返した。
ゆーちゃんを失う覚悟なんてできなかったから……。
「誕生日おめでとう」
そうして迎えたゆーちゃんの誕生日。
僕は不安な気持ちを押し殺しつつも、ゆーちゃんをディナーに連れ出して、はりきってお祝いしていた。
ていっても仕事がなかなか終わんなくて、予定よりだいぶ遅くからになっちゃったんだけど……。
でも、それでもゆーちゃんは超おめかしして、超嬉しそうにして待っててくれたんだ。
……よかったぁ。
今日は……今日だけは、あのそぶりを見せませんように!
「うう。ありがとう~~生きててよかった~~」
ぶはっ。
「そんなにぃ?僕に祝ってもらえるのがそんなに嬉しい?」
「ううん。こんなにおいしいコース料理が食べれるなんて幸せ~~」
「そっちかい!」
ゆーちゃんがコロコロ笑う。
「だってほんとにおいしいんだもん。ジュンちゃんは?なんか今日食べるの遅くない?」
「うん。ゆーちゃんが可愛いから」
「……え?」
「なんか見とれちゃって」
「……………そそそ、そんなまさか」
うはは。
めっちゃ動揺しちゃってるし。
可愛いなぁ、もう。
僕は切り分けたステーキを口に運びつつ、ゆーちゃんを見つめる。
まさかじゃないよ。
今日は一段とほんとに可愛い。
ふわふわな巻き髪も、少し大人びたメイクも。
いつもは着ないようなレイヤードワンピースも。
どれもゆーちゃんの魅力を引き立てていて……どれも今日という日を彩ってる。
ほんとに、僕にはもったいないくらい魅力的な人 。
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