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「試験で何度も学年トップになられるなんて、本当に尊敬しますわ。頭がかなり良くていらっしゃるのね。」
話し掛けて来た少女は、二階堂小夜(にかいどう さよ)。雅のクラスメートである。
「そんな事はありませんわ。鬼のような家庭教師に鍛えられていますしね。」
「執事の椿悠一(つばき ゆういち)さんでしたよね。あのような素敵な方に家庭教師をしてもらえるなんて、羨ましいですわ。」
小夜は雅の家の執事・椿悠一(22)に憧れているようだ。
彼の本性を知らないから、そんな事が言えるのだろうと、雅は思った。
彼は雅が5歳の時に氷室家へやって来た。
当時彼は10歳で、母親と2人で暮らしていた。
彼の父親は浮気性で女を作り、家から彼と彼の母親を追い出した。
その後、母子2人アパートを借りて暮らしていたものの、母親の稼ぎでも家賃が払えなくなりそこも追い出され、2人は行き場がなくなってしまった。
そこで、その当時氷室家に勤めていたメイドの一人が彼の母親の親友だった為、住み込みで働けるからと彼の母親に仕事を紹介してくれたのだ。
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