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この店では、一年に一度ぐらいのペースで首都から新しい本を仕入れていた。いくら田舎でも、定期的に新しい娯楽を仕入れなければ飽きられてしまう。
「またお留守番しないといけませんね」
「うん、それだけど、グラン・シャリオ、アタシの代わりに行ってきて」
「……え」
マーガレットの言葉にグラン・シャリオは目を丸くする。
「え、えええ、なんでわたしが!? マスターが行くんじゃないんですか!?」
貸本屋にとって本の在庫は、そのまま店の魅力、ひいては存在価値に繋がる。そのため、前店主は必ず自分の目で商品を確かめ、買い付けるようにしていた。グラン・シャリオはその間の留守番を任されており、一度も仕入れに行ったことはない。
マーガレットは「そんな過去がなんだ」と言いたげに前髪をかきあげた。
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