プロローグ 白紙の本の物語

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「アタシよりお前の方が商品の傾向に詳しいだろ」 「むむ……」  たしかに、普段賃貸の手続きをしているのはグラン・シャリオだ。マーガレットも賃貸リストに毎日目を通しているが、その内容をきちんと把握しているかは怪しい。元々マーガレットは引きこもって翻訳業をやっていたため、勤務日数でいってもグラン・シャリオの方が長いはずだ。  だが前述の通り、グラン・シャリオは一度も仕入れをしたことがない。マーガレットは何度か前店主に付き添って行っているはずで、仕入れの経験でいえばマーガレットの方が上であるはずだ。 「で、でも、マスターの方がいいんじゃないですか? わたし、仕入先の事、何も知りませんよ?」 「大丈夫大丈夫、紹介状書くから」 「えええ、そういう問題じゃないでしょう!?」 「いいから行っておいで。さもなけりゃクビってことで」 「横暴だー!?」
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