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「……途中までだが、案内するよ」
「えっ、いいんですか? その、折角お二人なのに……」
「そろそろ私が仕事の時間でね。移動しようと思っていたところなんだ。ついてきたまえ」
少年を抱いたまま立ち上がり、青年はついてくるよう促す。これ以上邪魔をしてはいけないと思ったから方向だけ聞いたのだが、厚意を無碍にするわけにも、と後を追う。
「城は楽しめたかな?」
「は、はいっ、こんな大きい建物も、すごい装飾も初めてで……」
「そうか、それは良かった。積み重ねてきた者達も喜ぶだろう」
「はい、とてもすごい人達だと思います。これだけ増築してるのに、何にもバランスが崩れてなくて」
「我が国の象徴と言ってもいいからな。年月がそのまま形になっている」
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