プロローグ 白紙の本の物語

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「すみません、気が付いたらはぐれちゃって……」 「心配したにゃー」 「こっちこそすみません。怪我とかないっすか?」 「ええ、大丈夫です。親切な衛兵さんに送ってもらいました」  言ってから、彼女は衛兵なのだろうかと疑問が生じたが、詳しく説明すれば大輝と名乗った彼に触れなければならない。彼の幸福や風評のためにも、適度にぼかしておけばいいだろう。 「それならいいんすけど。……そろそろ戻りますか? スクートゥムも待たせてますし」 「そうですね。お二人とも、ありがとうございました」 「にゃーん、このくらいの案内ならお安いご用だにゃー」  城は十分堪能した。また来ることがあっても、それは来年以降の事だ。外で待っているスクートゥムを迎えに行くべく、王城を後にした。
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