輪違屋

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私の何がいけなかったんだろうか? 両親の手を煩わせない手のかからない子というのは悪い事なんだろうか? 私にはわからない。 あの人達の気持ちも、私自身の事さえも。 「おや。気いつかはりましたか?気分はどうどす?」 ぼんやりとした頭で、辺りを見渡す。 私の顔を覗きこんでいるのは、着物姿の女の人。 私自身、畳の上の布団で寝ているみたいで、ここが何処だかまったくわからない。 私は確か、学校の階段から足を踏み外した・・・? 直前に挨拶した、見たことない顔の先生が後ろで危ないとか何とか叫んでいた気がする・・・としたら、あの先生が私を運んでくれた?? でも、学校に和室って言ったら、茶道部か華道部の部室くらいしか思い浮かばない。 でも、この部屋はその2つの部室どちらとも違う気がするし・・・ それに、和室と言っても何だか私の知っている和室とは随分違う様な気がするし… そもそも、何で照明器具が蝋燭なのかが疑問だし。 電気や機械類がまったくない家だなんて、今時あるものだろうか? もし、そんな家あるのだとしたら、それは… 「・・・あんた、口きかれへんのか?気分はどうどすって、聞いてるんやけど」 ペシリとデコを叩かれる音がして、目覚めた時最初に見た女の人が、なんだか怒っていた。 私の所為? いや、あきらかに私のせいなんだけれど。 「ごめんなさい。ちょっと、今の状況が理解できなくて・・・私、どうしてここに居るんでしょうか・・・?後、気分は悪くありません」 どれだけ寝ていたかはわからないけれど、私が紡いだ言葉は少し掠れていた。 口、開けっ放しで寝ていたのかな? ヨダレ、垂れてたら嫌だな。 なんてことを思いながら、顔だけはデコを叩いた女の人をみた。
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