第3章 ピンクの携帯

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美樹からのメールが再び来るようになって1ヶ月が過ぎていた。 22時過ぎに帰宅した俺は、まず冷蔵庫からビールを取り出した。 一気に半分近く飲み干すと、幾分気持ちが落ち着いた。 部長が明日の月末会議に向け張り切ってるせいで余分な仕事が増え、会社に残されていたのだ。そういえば美樹からのメールが再開したのも月末会議の日だったから4月28日だ。 もう1ヶ月も経つのだ。 休日も予定があったりして、この1ヶ月機種変更にすら行けなかった。 俺は大きくため息をついた。 美樹からのメールは本当に憂鬱な気分にさせられる。 次の休みこそは機種変更に行かなくては。 その時玄関のチャイムが鳴った。 「中西さーん。新谷です」 隣の新谷のおばちゃんだ。 世話好きで話好き。 引っ越してきたばかりの俺にも、とても気さくに話しかけてくれる。 少し苦手なタイプだが近所の安いスーパーなども教えてくれ、そこは非常に助かっていた。 「はーい、どうしたんですか?」
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