第1章 メール

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毎日何十回もの電話、メールが来た。 電話には出なかったが、メールには 『あたしのことそんなに嫌いになったの? 俊也さんに嫌われたら、あたしどう生きていけばいいの?』 と書いてあった。俺は美樹からの電話もメールも着信拒否した。 そうしたら非通知で掛けてこられたので、非通知も拒否した。 家にも何回も来られた。 合鍵は取り返していたので、中には入られなかったが、ドアを叩きながら泣いて謝り、別れないでと懇願してきた。 やむなく、警察に通報した。 警察では厳重注意されたらしいが、それで諦める美樹ではないと分かっていた。 会社についてはちゃんと教えていなかったことが幸いした。 美樹の方が全然良い会社に勤めていたのでバツ悪く、誤魔化していたのだ。 会社にも来られていたら仕事どころではなくなっていただろう。 それでも俺はノイローゼになりかかっていた。 アパートの契約更新の時期とちょうど重なっていたので、俺は美樹に黙って引っ越した。 携帯も変えた。 そうして俺は美樹から解放された。 ちょうど1ヶ月前のことだ。
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