第2章 迷宮

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なんとか会議に間に合い、無事昼休みを迎えた。 すると待っていたかのように、メールが来た。 美樹からだった。 『今日は会議でしょ?お疲れ様。 そろそろお昼休みだよね? ねえ、俊也さんの声聞きたいよ』 背中に冷たいものが走った。 拒否設定したはずなのに何故? 確かめてみるが、間違いなく拒否されているはずだ。 最新機種のはずなのにちゃんと機能してないのか? とりあえず雄太に電話して俺の連絡先教えたか確かめてみた。 答えはNOだった。 雄太ははっきり 「教えていないし、聞かれてもいない」 と答えた。 それからもメールは頻繁に来た。電話は拒否できているようだが、メールは拒否出来ていないのだ。 機種変更した店にも行ってみた。 しかし店員も 「これで拒否出来てるはずですけどね~。一応私がやり直しておきました。 これでもまたメール来たら、また持ってきてください。同型の別の機種に無料で変更します。もちろん番号はそのままで」 結局解決しないまま帰宅した。 その夜美樹からメールが来た。 次の休みに機種変更に行こうと思った。 だが、その間にもメールはどんどん過激になっていった。 『やっぱり、あたしは俊也さんがいないと駄目だよ。会いたい、声聞きたいよ』 『もうあたし疲れたよ』 『生きていく希望が何も無い。あたしはこのまま死んでいくのかな?』 『俊也さん、あたしが死んだらお葬式には来てくれる?』 メールなど開かなければいいのだが、なぜか俺はメールが来るたびにそれを開いてしまうのだ。 無意識で行ういつもの習慣のように。 また、美樹からのメールはおかしな時があった。 休日なのに、平日起きる時間にメールが来た。 その逆もあった。 以前はそんなことなかったのに。 晴れなのに 『今日は雨だけど気をつけてね』 と来たこともあった。
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