全ては井戸から

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「……いたたたた!」 あれ?言うほど痛くない? あ、何かゆーまんを下敷きにしてる。 「…さっさと退いてくれませんかね?"変態井戸フェチ"さん。」 「おおう!光栄な称号をありがとう!我が友よ!」 「ふざけてねぇでさっさと退きやがれ!」 「おっとぉー!」 こいつ!花の女子高生に蹴り噛ましやがりましたよ! ふてぇやつだ!お縄につけぇ! ………古かったか。 「ったく、アブねぇだろ!飛び込んだら!」 何だかんだで心配してくれるいい幼馴染みです。 「気にしてたらロマン語れないよ!」 そんならやり取りをしていたら、何か暗く………。 わぁお、何か鎧来たー!! 「…ロマン語る前に絶体絶命だな、相棒。」 「そうっすね…。」 うわぁい、何かいっぱい来たよー? 「…おまえたち、何者だ!見慣れぬ出で立ちだな! もしや、"敵井戸"からの侵略者か!」 あれ?今、"テキイド"とか言いませんでした? ナニソレ、ステキ! 察したゆーまん、呆れてます。 よく見ればこの場所、"井戸だらけ"! 何、ここ!パラダイス?! まさにボクのためにある場所だ! 「ちょっとちょっと!おにーさん! ここってば、井戸いっぱいあるじゃん?!どんな仕組みなの!?」 目を爛々に輝かせるボクに、流石に後ずさる鎧来たにーさん。 「な、なんだ?おまえ、何も知らない?」 「いやぁ、多分ね?ボクたちって、おにーさんたちからしたら"異世界人"じゃないすかね? ボク、井戸を愛して止まないんすよ! 説明願えませんかね!? もー、かなり興味沸いちゃってー!」 あれー?何やら、こそこそ話し合い始まっちゃったよ? ボクの井戸愛ぶりに会議でも開かれちゃうかなー? 困っちゃうなー!絶対、この世界は井戸中心のパラダイスなわけでしょ? ボクのボクによるボクのための世界なんじゃないのー?! 「……そうだな。"王子"にお伝えしろ。」 へ?"王子"?やっぱ、ファンタジーな世界だったか。 しかも、井戸ありきの! 「おまえたち!取り敢えず、駐留場所まで一緒に来い! 話はそれからだ、いいな?」 まぁ、仕方ないっすね。 付いていってあげましょう、井戸の為ならば! 「…ついてくしかねぇけど、おまえの井戸フェチがいい方に転ぶことを願うしかねぇな。」 「大丈夫さ、ワトソンくん!井戸に罪はない!」 「だから、誰がワトソンだ!」
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