全ては井戸から

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ボクらは、"駐留場所"に連れてこられた。 どうみても、"テント"だよねー。 さっきの偉そうなおにーさんが、一番大きな"テント"の前で畏まっている。 あー、そこに"王子"がいるのかな? "王子"にゃ興味ないけど、井戸についてきけるかしら? 「おい!"王子"がお会いになる!面を下げて待て!」 えー?やだなー。偉くても知らない人だし。 「………いいよ、"バイザー"。初めまして、レディ。」 ほー。出てきたのは金髪が眩しいイケメンの、同い年くらいの少年だ。 ゆーまんと見比べてみる。 「良かったな、ゆーまん。イーブンだ!」 「何の話だよ!てか、ちゃんと答えてやれよ!」 「ああ、イケメン王子くん!ハジメマシテ! ボクは《東雲華凛》だ!ヨロシクネ!」 悪いがボクは、"井戸"にしか興味がない。 「俺は《早乙女悠真》……。」 「"カリン"と言うのか!俺は"マクシミリアン"だ。」 ゆーまんの自己紹介を遮りやがったぞ、こいつ。 しかも、ボクの手を握ってきやがった。 何なんだ、こいつは! やんわり振りほどきながらいい放つ。 「因みに、ボクとゆーまんはセットだ。 何せ今、ボクの暴走を止められるのはゆーまんだけだ。」 自信満々。 「胸を張って恥ずかしいことを言うな、バカ!」 ふん、最大の賛辞だね! 「…二人は恋人同士か?」 「「いやいや!」」 揃って否定する。んなわけない。 「そうかそうか♪」 否定したら何だか嬉しそうだ。 「そうそう、聞けば"異世界"から来たそうじゃないか。 服装から察するに、"敵井戸"の"異世界"とは違うようだね。」 「いやー、さっきから"テキイド"って聞くけど何?」 あ、何か勿体振った感じで仁王立ちになったよー。 「説明しよう!"敵井戸"とは!"井戸"ごとの"異世界"。更に敵対関係にある"井戸異世界"のことだ!」 あー、すんません。単純過ぎて説明いらなかったわ。 漢字分かれば、それで充分でした! 「まぁ、あれだよね?井戸に入れば、色んな異世界を漫遊出来るわけだ! 夢のようじゃないかね?!ワト…!むがっ!」 「言わせねーよ?!同じコント続ける気はねぇかんな?!」 ちっ、ゆーまんてば学習能力高すぎるぜ! 「いや、申し訳ないが…。 今、"敵井戸"戦争中で下手に移動するのは危険なんだ。」 へ?戦争中っておっしゃいましてぇ?
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