虫の警告

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From: 人間ハミナ同ジダ。ダガ君ハモット酷イ。 ダカラ、罰ヲアタエル。 何がどうなっているのか分からないが、どうにかしなければいけない。 ようやく僕の体が動き出した時、視界の隅に殺虫剤が転がっているのを捉えた。 これほどまでに殺虫剤の存在に救われたことは無い。 僕は急いで殺虫剤を手に取ろうとした瞬間、ガシャンという音が聞こえた。 ついに窓ガラスが割れてしまった。 割れた場所から無数のカナブンが部屋に侵入し、一斉に僕の方に向かってくる。 「うあああああ」 かつてないほどの悲鳴を上げたと同時に僕は目を覚ました。 僕はいつの間にかソファで眠っていたらしい。 乱れた呼吸のまま僕は部屋を見渡した。立ち上がり、カーテンを開けて窓を確認したが、特に異変は無い。 「なんだ、夢か」 ほっと一息つき呼吸を整える。趣味の悪い夢だった。 疲れているのだろうか。時刻を確認するとまだ起きるには早い時間だった。 大量にかいた汗をシャワーで流してもう一眠りしよう。 そう思い、浴室に向かおうとした時、メールの受信を知らせる着信音が鳴った。 鼓動がドクンドクンと激しく脈打ち、再び僕の呼吸は乱れ始める。 大丈夫、あれは夢だ。僕は自分自身にそう言い聞かせて、携帯を探した。 携帯はテーブルの下に落ちていた。赤いランプが点灯している。 僕はもう一度深呼吸する。意を決して携帯を持ち上げると、携帯の下敷きになるような形でカナブンの死骸があった。 「ヒイッ」 僕は情けない声を上げ、その場に座り込む。脳裏に先ほどまで見ていた夢が過ぎり、それを払拭するかのように僕は急いでメールを確認した。そこには。
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