question 5

2/3
前へ
/31ページ
次へ
「博士、わたしがやろうとしていることは、間違っているんじゃないかと思いはじめました。今まで生と死について、そして人間というものについて何も知らなかったのですが、メールでのやりとりではありますが、こうして多くの人間の考えていることを知り、彼彼女らの思う生と死について少し触れることができました。確かにメールの返信では、死ぬべきと答えた人々が多かったのですが、それは文脈上のあやだったり、人間特有の本心を隠す癖だったりのせいであって、多くの人間は生きたいと願っているのではないかな、そして死に対して恐れと悲しみをいだいているのではないのかなと思うのです。それに、この少女のように親を失くして悲しむ子や、子を失くして嘆く親、友を失くして泣きじゃくる友、恋人を失くして叫ぶ恋人、生命あるものを失くして憐れむ生命あるものがいるんだと知って、勝手に他所の生命を弄んではならないのではないかと感じ、わたしの中にはない生命の神秘というものの偉大さに畏れをなしたのです。わたしは自分の存在が怖くなりました。今まさに、自らに問う。“To be,or not to be: that is the question: ”」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加