気まずい関係

23/31
前へ
/313ページ
次へ
まがまがしいオーラを放つ陽平から目が離せない。 これだけの人数に囲まれてるというのに、絶対的な自信があるように見える。 普段からは考えられない姿に、あたしの中で不安がどんどん大きくなって行く。 「よ、陽平……」 力なく名前を呼ぶと、陽平はあたしに一瞬だけ目を向けて口元を緩めて微笑んでくれた。 その顔に一瞬ドキッとして、鼓動が飛び跳ねる。 な、なにこれ……。 なんで。 陽平はまた男達に視線をやって、さっきよりも鋭く威圧的に怒声を響かせる。 「愛梨に手ぇ出して、ただで済むと思うなよ!」 なんでだろう。 こんな歯の浮くセリフ、絶対に言われたくないって思ってたのに。 それなのに、こんなにもドキドキしているあたしがいる。 本当のヒーローのようで。 いつもはイジワルなのに、今の陽平はすごくカッコ良く見えた。
/313ページ

最初のコメントを投稿しよう!

133人が本棚に入れています
本棚に追加