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『……………』
ブツッ
ジ……ザザッ…………ザ……ジ…
ツーツーツー
やってしまったか。
そう、マノンは思った。
捕まった少年に、罪はない。
偶然。偶然、ハノンが適当に作った似顔絵が、少年に酷似していただけ。
だが、ハノンも[驚いた]ようだった。
少なくとも、想定外。予測範囲外の出来事だったのだろう。
適当に作ったでまかせが、まさか、本当に、同じ時間、同じコンビニで、同じものが盗まれる、なんて。
どれほどの奇跡か。偶然が。
違うのは、犯人だけ。
『…聞こ…え……ますか…』
幸いか、不幸か。
少年の携帯端末は、取り上げられて、いなかった。
マノンは止めた。
冤罪とはいえ。犯罪者とコンタクトをとるのは、ヤバいと。
だが、責任感を植え付けられた性質上、[どうにかしたい]と。
ハノンは言った。
携帯端末が取り上げられていなかった時点でもう、気づくべきだったのかもしれなかった。
だが、ハノンが自身の行動に一切の疑問をもたないように、マノンもそれが当然だろうと思い込まされていた。
そのときは、まだ。
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