第1章 Error Cord・criminal

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少年は、小さな部屋の中にいた。 自分の住む町に、こんな場所があるなんて、知らなかった。 2畳半の、小さな部屋に、ちゃぶ台が一つ。窓が一つ。頑丈そうな、電子ロックの扉が一つ。 急須と湯呑み。固そうな枕が一つずつ。 彼は、これからどうなるのか。 万引き防止のポスターすら、ろくに見たことがなかった彼には、知ることができない。 完全な冤罪だ。 「クソッ………………」 思わず床を殴り付けるが、なにが変わるわけでも、なにがおこるわけでもない。 「……チクショウ………なんだって…なんだって言うんだよ!!」 流れ落ちる涙は、悔しさからか、別のものか。ただただ苦く、塩辛い。 そのとき、彼のポケットの中で、なにかが震えた。 「……?……テレビ…電話…?」 不審すぎる。 携帯端末が取り上げられていなかったこともそうだが、彼には、テレビ電話をかけてくるような知り合いが、一人もいない。 そもそも、友達と言えるような関係の人間がいない。 せいぜいで、バイト先の知り合いくらいしか番号登録をしていない。 と、いうか。 「なんだこれ…」 #42666なんていう番号に、心当たりがない。 だが、 『もしもし…えっと、今度こそ、聞こえますかー?』 幼い子供のような声。 通話ボタンなんか押してないのに、勝手に、全体的なシルエットが蟻っぽい少女のアバターが表示される。
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