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『あ、マノちゃんマノちゃん、今度こそつながった~』
『おーおー、よかったなー』
嬉そうにはしゃぐ声にも、適当でだるそうな声にも、聞き覚えはない。
「誰だよ…」
苛立ち紛れに。しかし、切ったところでいなくなるような相手とは思えないので、声だけは返す。
『はい、私(ワタクシ)は、情報管理プログラムHANON。正式名称は…』
『…ザザッ…長くなるから切ったぞ。ワタシは同じく情報管理プログラムMANON。ああ、アバターはハノンのものだから、勘違いはしないように』
事務的になったはしゃいでいた声をぶったぎり、かわらずだるそうな声が言う。
は、と。口が妙な息を吐き出した。
イタズラ電話、と切り捨てることもできた。
『ハノン。正義感は勝手にしろ。だが、あまり時間はねぇぞ。手短に済ませろ』
『わかってるよ~。と、いうわけで、本題です』
だが、声はお構い無く核心に触れる。
『本当の犯人を、捕まえたい?』
切り捨てることも、できた。
イタズラ電話だ。
そう、言い聞かせようともした。
でも、
「当たり前だろ…」
できない。
「当たり前に決まってるだろ…!!」
できる、わけがない。
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