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マノンは、自らの仕事を捌きながら、余剰能力で考えていた。
考えて、と言えるのかどうかは自分でも判断に迷うが。
「………………………」
ハノンは、適当に作っただけだ。
なら、この偶然はなんだ。
なら、なぜこんなことになった?
コンビニの在庫管理の記録。防犯カメラの映像。コンビニ内の各種センサーの記録。
どれを探ったところで、少年が万引き犯である証拠は出てこない。
どころか
(万引きがおきた事実すら、出てこねぇんだよな…)
店員の証言。客の証言。
どちらも、少年が犯人であると証言した記録は残っているのに、だ。
「ハノン。記録はいじってもいじられてもねーよな?」
当然だ、と主張するかのように、自身の潔白を示すデータが大量に送られてくる。
だからといって、疑わないわけではないが。
「ん?」
ピンと張られた糸に引かれるような、奇妙な感覚。
そういえば、ハノンが余計なことをしていた。
少年の携帯端末のことを思いだし、糸に引かれるに任せてみる。
もちろん、自分の仕事を、全てハノンに押し付けた。その上で。
案の定、だった
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