第1章 Error Cord・criminal

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『ひとつ質問しても…って、聞いてんのかオイ』 少女の姿をしたアバターは、不機嫌そうに喋っていた。 さっきのが勤勉な蟻の姫なら、こちらは凶悪享楽な捕食者。 蜘蛛の女王……それすらも従える、支配者…だろうか。 『聞いてんのかっつってんだ!!』 「あ、ああ…」 大音量フルボリュームで叫ばれ、耳が痛くなる。 フン、と彼女は鼻をならし、 『なんでワタシを選んだ?』 シンプルに。 その答えは、簡単だ。 「押すとこ間違えたんだよ。最近機種変したばっかなんだ」 『正直だなおまえ…』 あっけにとられた彼女は、なにも喋らない。 「プログラムって言ってたけど…意外と人間くさいんだな」 『……それがワタシの欠陥(バグ)なんだよ。あれと違って、嘘だってつけるさ』 どこか憂鬱に。 あれ、というのは、ハノンと名乗ったほうなのだろう。 人間くさいのが欠陥というのは納得いかないが、それは今は関係ない。 『決めたのか?』 「最初から、決まってる」 自分でおどろくくらいに、すっきりとした声が出た。 「協力、してくれるんだろ?」 そう言ってから、少し間をおき、 「しないと言っても、してもらう」 それを聞いた蜘蛛の支配者は、凶悪に顔を歪め、笑う。
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