第1章 Error Cord・criminal

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『上等』 ガチャリ、と扉が開く。 外へと誘い出すかのように、揺れる。 『覚悟はいいな?』 「当然」 なにが変わるか、なんて考えない。 失うものが自分の命の他にない、そこからくる自暴自棄と言われても、否定はしない。 ただ。どうしようもない衝動。 復讐心、とはまた違う、怒り。 『ここにいれば、最低限の…命の保証だけは確実だぞ?』 いざ、一歩を踏み出すときになって、彼女はそんなことを言った。 「ここに閉じ込められて生きたって、死んでいるのとかわらないだろ」 ポケットの携帯端末に低く言う。 そして、踏み出す。 ずらりと並んだ扉。 「………………」 『驚いたか?』 マノンは相変わらずだるそうに言う。 「俺みたいなやつらがいるってことか…?」 たまらず漏れた呟きに、クスクス笑う声が返ってくる。 『残念ながら。ここにいるのは、本当に罪を犯したもの達だよ』 はあ、と大きな溜め息が聞こえ、 『記憶を辿ってみろ―――過去に、この町で、小さなものから大きなものまで。なにか事件が起きた記憶はあるか?』 ないだろう。と蜘蛛の支配者は言う。 たしかに、ない。
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