第1章 Error Cord・criminal

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『ここにはな、この町の犯罪者と被害者が集められている』 楽しそうに、声は言う。 『〈町が平和であるために〉。痴漢、万引き犯、殺人犯、銀行強盗、詐欺師…集められて、君風に言うならば、死んでいるのとかわらない生を生きているのさ』 楽しそうに。 舌なめずりをするかのような、背筋の凍るようななにかを含んだ声が、 『集められて、どうなると思う?』 答えを間違えたら、この捕食者に喰われる。 そんな錯覚に襲われ、少年は思わず身震いをする。 相手は実体のないプログラム………で、あるはずなのに。足元はおろか、全身をねばついた糸に絡めとられて。あげく、見た目から味を見定められているかのような、そんな感覚に陥る。 声だけで、だ。 どんな表情をしているのかはわからないが、自ら進んで見てみたいとは思わない。 答えろよ、と威圧するように、感じる。 考えようとする思考の奥底で、嫌な感触が蠢く。 苦く重たい恐怖。 そこから逃れようとする自分が、制御できない。 『どうした少年。呼吸と動悸が速いぞ?』 じっとりと舐めるような、甘い声。 なのに、喰われる寸前のような、命の危機を感じる緊張感。
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