第1章 Error Cord・criminal

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「逃げ出そうとは思わないのか…?」 この問いかけは、逃げだ。 わかっていても、打つ手がない。 『………まぁ、逃げるべきではあるんだろうが』 「?」 どこか切ない声に、足が止まる。 少年が足を止めたことに、マノンも気づいていた。 最近の進歩した携帯端末の、健康管理機能から、少年の状態が手を取るようにわかる。 (失敗したかねこれは) どこか歪んだ笑いを浮かべ、そう思う。 ハノン以外のモノに、マノンとしての自分のまま喋るのは久しぶりで―――――つい、はしゃいだせいで、抑えが効かなくなった。 つい、素の感情のまま声を出してしまった。 (だーもー!!もうちょいからかって遊ぶつもりだったっつーのに…ね) 彼女に、少年に協力する気は気まぐれ程度にしかない。 ないよりはマシ。だが、ただの遊び。 毎日をただただ繰り返す中の、ほんの少しの退屈しのぎ。 ことの真相は気になるが、そんなものは、自分一人でも調べられる。 そう、密かに笑っていた。 「君は、逃げるべきと考えているんだろう?」 『あ、ああ…』 かすれた少年の声に、笑みを深める。 「なら、足を止めている暇はないぞ?」
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