第1章 Error Cord・criminal

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「マノン?」 足を止めていた少年は、ポケットに入れていた携帯端末を手にとる。 ブラックアウトした画面のどこをつついても、変化する様子はない。 不安。 『…ジジ…ザザ…』 スピーカーから漏れる雑音に、余計に不安を煽られる。 が、 『……生身だったら…息切れでもしてるんだろうな…』 疲労の色濃く滲み出た声が、かすれながらも聞こえる。 つくづく。機械らしくない。生身の人間と喋っているような、そんな気がしてきてしまう。 「大丈夫なのか?それは」 ほっとしつつ、まだ戻らない黒い画面に話しかけると、 『ん?…オイオイ。ワタシは嘘をつけるんだが?これが演技だとは考えないのかよ』 口調も言葉も辛辣だが、声に滲み出た疲労は隠せていない。 なにより、かすれて聞こえた一言が、嘘だとは思えない。 『まあ、外は大変なことになってるかもな』 はっきりと聞こえた声に、ギョッとする。 『なんだぁ?そのマヌケ顔』 「…なんで表情とかわかんだよ」 『内カメラ。マヌケなのは否定しないんだな』 バヂッという音がして、画面に数々の平面図が映し出される。 地図。 どこの、かは、いうまでもない。
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