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その枚数が、多い。
『一応、これでも処理能力がパンクしないように、まとめたんだ。超誉めろ』
指でスクロールして、1枚1枚じっくりと見ていく。
画面の端でニヤニヤ笑うマノンを無視して読み進める内に、気づく。
「出入口が…ないだと!?」
『ご名答。しかも現在地もわからないんだよ』
何階層かにわかれているのか。階段やエレベーターの類いはある。
にも関わらず、出入口にあたる部分は一切書かれていない。
当然、駅の案内板のように、現在地がわかるわけでもない。
そのうえで、考える。
「エレベーターは使えないな。施設の人間が来たら詰む」
『階段も大差ないと思うがね。右も左もわからない現状で、どうするつもりだ?』
彼女の言葉に、ほんの少し考える。
「資料室」
地図のうち1枚を呼び出し、拡大。
「ここなら、お前が見つけられなかった、電子方面にあがっていない情報があるかもしれない」
ピクッと、画面の端で、表情が微かに動いた気がした。が、たぶん気のせいだろう。
『…なら、ワタシはここまでだ』
マノンがそう言うと、地図がどんどん消えていってしまう。
「お、おい!?」
『必死だな、無様なまでに』
はっ、と人を小馬鹿にしたように言うマノンの口が、つり上がる。
『安心しろよ。地図はアプリ化してある、好きに使えよ』
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