第1章 Error Cord・criminal

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そう言って、一方的に電話を切るかのごとく彼女は消えた。 たしかに言っていたとおり、見慣れないアプリが表示されている。 蟻に運ばれる人骨を模したデザインをしているあたり、かなり悪趣味だ。 「……あたってみるしかないか」 その前に、残っていたハノンのアプリに触れる。 『はいは~い。ようやくのお呼びですねー』 ふてくされた口調ながら、棒読み。 全体のシルエットは蟻のようなアバター。 ハノン。 『マノちゃんがなにか粗相をしたり、しませんでしたでしょうかー』 「あ、ああ…むしろ地図を出してもらったり助かったけど」 機械らしく。自然なまでに不自然なそのしゃべりかたに、ぎこちなくかえす。 例えるならば、素人の演劇を見ているような、だろうか。 『地図に悪意は…あ、よかった~。大丈夫そう……資料室ですね?』 「え!?あ、うん。場所が…」 『大丈夫です。ここから、階段に出るまで歩いてください』 返事を待たずに、ハノンはどんどん話を進めてしまう。 『でも、初めてですねーチャット以外で、ハノンとして他人とお喋りなんて』 歩く合間に。そんなことをハノンは言った。 「ハノンとして?」
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