第1章 Error Cord・criminal

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『はい』 すっきりとしたよく通る声で彼女は言い、 『マノちゃんもですけどねー。普段、町の外の人に、町の中の誰かとしてお返事を返すことは多いですが』 なんでもないことのように言われたせいで、つい、聞き流しそうになる。 「町の中の誰かとして…?」 町の中の人として、ではなく。町の中の誰かとして。 なんとなく、引っ掛かってしまった。 『ええ。例えば、町の外のAさんから、Bさんに電話がかかってきたとします。そういったときに、BさんとしてAさんに応対するわけです』 マノちゃんはその逆ですね。と。 言った声を、少年は聞いていなかった。 情報管理プログラム。 思い浮かんだのは、パソコンなどネットの補助程度。 だったのに、少年の想像力の外。もっともっとスケールの飛んだ話で、 「なんで…そんなこと…」 喉の奥から絞り出すように、かすれた声。 『え、当たり前じゃないですか』 さも当然というように、彼女は電子の声を紡ぐ。 『大事な大事な実験中なんですよ?町の外の人に入りこまれたら、結果がきちんと出ないかもしれないじゃないですか…あれ?なんでまた、立ち止まっているんですか?』
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