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「ワタシのは仕様だっつーの」
イライラとした波が、空間に広がる。
「わわっ!?マノちゃんおちついてー。本当に落ちちゃうー」
急激に、ハノンの波が平淡になり、あちこちへと何かの信号を送りはじめる。
『おかーさーん、テレビちかちかしてるー』
「ほらほら、マノちゃんが怒った影響がー」
遠くから送られてきた[声]に、ハノンが平淡なまま言うと、
「なら人を怒らせるんじゃねーよ!!」
人間であれば、怒鳴り声になるのだろう。
空間のみならず、彼女達の支配する領域全体に広がるような大波が、勢いよく発せられた。
テレビ画面が。
ラジオの音声が。
ネットニュースのトピックスが。
ヴツン
『おい、停電か?』
『ちょ、なにこれ!?ウイルス拾った!?』
「あーあー。誰かさんが人を怒らせるよーなことしたせいで、あちこち大変なことになってんなぁ?」
他人事のように、マノンはハノンに波を送る。
あたふたと状況の収拾に追われるハノンを残し、マノンは、本来の自分の領域へと帰る。
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