第2章 I believed in……

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その、他のものと比べて、やけに綺麗で埃のついていないノートパソコンの画面が、バヂッと音をたてて点る。 [welcome to master . .. from me .] 「は??」 あいにく、少年は英語に詳しくない。 画面の文字に戸惑っていると、次の文章が映し出される。 [ Cord ・ criminal ... open … 言語表示を日本語に移行します。] と、画面に、見知ったアバターによく似た絵が映し出される。 人の形をした、蟻のような人形。 「ハノン、これはお前の親戚か?」 冗談ぶった口調で言うが、答えは返ってこない。 [ハ・ノ・ン…H・A・N・O・N…パスワード認証。おかえりなさいませ、マスター。] 人形の画像が動くことはなく、文字だけが表示されてゆく。 当然…なのか。二人のように、声を出して喋る様子もない。 [マスターが最後にいらっしゃってからの、367年間の、エラー、バグ、ウイルス、いずれも検出されず。正常に作動しています。] 「ちょ、ちょっと待ってくれ」 思わず、手を挙げて制止する。 「マスターってなんだマスターって。なんだよお前はよ!!」 少年の叫ぶような問いかけに、文字が並ぶ。 [マスターとは、という質問に回答。プログラム開発者、鴉捕魔音(アトリ・マオ)のことである、と回答。続いて、なんだよお前はとの質問を、周囲の情報から我が何であるかと解釈。情報処理プログラムと回答。]
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