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0と1の領域だけでは治まらず、そこから彼女を引きずり出す。
01の羅列であることには変わりないが、
「もー。スペック押しちゃうじゃん」
チリチリと、0と1だけの空間に、形が生まれる。
ぷっくりと大きく膨らんだスカート。対して細く見える胴体と、顔より大きな帽子を乗せた、栗色のおかっぱ髪。ぱっちりとした大きな目。
全体的なシルエットをまとめると、蟻のような印象を受ける。
表情は固く、その笑顔は上部だけの仮面にも見えた。
「もとはと言えば、マノちゃんが怒ったりするからお仕事が増えたんだよ?」
ふん、と鼻を鳴らすマノンは、例えるならば、蜘蛛だろう。
電子の荒波の中で揺れる、バサバサの長い黒髪をかきあげる鉤爪のような4対の腕。脚が見えないほどに大きく膨らみ、包むように先ですぼんだ黒いスカート。
もしこれが、情報媒体管理用プログラムでなければ、あるいは欠陥品扱いはされなかったかもしれない証拠であるかのように。
「そもそもてめぇが余計なことを言うからだろうが」
無意識に歪めた表情は、苛立ち。
命令に従順に従うだけであれば、必要のない欠陥(バグ)。
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